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BlueSpringさん

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  • レビュー投稿数

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  • 参考になった割合

    67

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  • 愛でれば人形にも心が宿る

     会社をリストラされた青年の心の支えは、夜の廃墟で見つけた、一体の人形。失われた世代の象徴としての若者にとっての、クライマックスとは、天使と化したドールが夜空を舞うシーンだろうか。
     生と死、夢と現実、人形と生身の女性のように、対立する存在を自在に入れ替えて構成された、R18ファンタジー作品。
     細かな粗探しをせずに、物語に身をゆだねることをお勧めしたい。

    「生とは死に至るまでの一瞬の輝く夢のようなもの」という石井隆のテーマは今も変わらず。
    「価値を信じて今を生きるあなたの存在こそが大切」ともいうべき主張には共感できる。

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  • 愛憎とリベンジの連鎖がもたらす不毛なストーリー

     秘書課の美人OL・あいみは、前向きに順風満帆の会社生活を送っていたが、昔の恋人に撮影された、プライベート写真の流出をきっかけに、思わぬ人生の奈落へと落ちていく。
     愛憎と謀略が渦巻く中、次々に人生の歯車が狂っていく男女たち…。
     スマフォ、LINE、社内メールなどの環境が存在する現代社会においては、かつてないほど、情報共有が瞬時に行える利便性の一方で、ある個人を孤立させてしまうダークサイドが存在することを、巧みに二転三転して展開する心理ミステリーとして構成している。

     これが現実に起こりうるかどうかは別にして、復讐の連鎖においては、誰もが加害者にも被害者にもなりうることを、よく示していると思う。
     げに恐ろしきは、人の心。愛は不信に変わり、救済への出口すら見出せない物語である。
     友情や愛をめぐって、まさに幸福の絶頂にいる人たちならば、観ない方が良いかも。

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  • 仮想現実で恋人の無意識の中へ

     脳内意識を仮想現実に変え、その体験を共有できるという装置を使用して、昏睡状態にある恋人の意識の中に入り込み、過去に起きた原体験を解き明かしていく、というSFミステリー作品。
     ここでの首長竜とは、15年前に起きた不幸な出来事がもたらした、トラウマが仮想実体化したものを指している。
     二人は過去の心の傷を清算して、無事に生還できるのか…。

     流れとしては、真のコンタクトに至るまでの導入部がやや長く、その意味も希薄。
     物語構成は、過去の記憶の断片をパズルのように組み立てている、唯物論的ともいうべき内容である。
     よって、CGとか特撮映像による描写は、見ごたえがある。

     しかし結果的としてもたらされるのは、どちらかというと精神力による事態の収拾。
     個人的に期待した、愛情による魂の救済とか、心の解決をもたらしてくれるはずの側面が弱い点で、やや惜しいと感じられる作品となっている。

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  • ふわりと漂う、百合の恋愛感情

     私は男性とは幸せになれない…そんな「百合」女性の同性への恋愛感情を、くらげのようにふわりと漂う、支えを持たない存在感と重ね合わせている。
     かつて金子修介監督は、にっかつ時代に「百合族」シリーズを制作した実績がある。
     当時の作品群と比較して、今はこんなに性的に自由に思える時代にもかかわらず、軽妙洒脱さは失われ、主人公の女性たちは明らかに孤独で、切ない存在として描かれている。これは原作の影響なのかもしれないけれど。
     ノーマルな男性に、こうした感情は理解しづらく、難解なものとして映るだろう。

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  • さよなら渓谷

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    不幸の共有で繋がる男女関係

     週刊誌の記者が、ある事件で一人の男性を取材しているうちに、彼の内縁の妻との暗い過去に、足を踏み入れていくという物語。
     不幸なルーツを共有することによって繋がっているという男女関係は、絶対にありえないことではないと思うが、ストーリーや心理展開の有様は通常ではなく、感情移入することは難しい。
     緻密に組み立てられた小説には、向いた作品だと感じる。

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  • ごく普通の女子が経験した、ある一つの人生

     17歳のごく普通の女子学生である、アデルが、美大生である芸術家の女性と愛し合う経験を軸として、やがて社会人として自立していくまでの、人生を決定付ける数年間の日々の過程を描いた作品である。
     ドキュメンタリー風のリアリズムと、美的なフィクション、哲学的なシナリオを組み合わせて、映画の進行とともに、彼女の人生を一緒に歩んでいるかのような、疑似体験ができる。

     果たして彼女に、別の可能性はあったのだろうか、と考える余裕すら、緻密なこの作品は与えてくれない。作品の難易度は高めといえる。
     ブルーはアデルの青春を象徴する色。
     確かに、若く多感なこの時期は、その人の人生のあり方を方向付ける、重要なものなのだろうと想う。

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  • 陽だまりの彼女

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    彼女が陽だまりを好む理由

     前半では、幸せすぎる、スタイリッシュで、甘いラブ・ストーリーが展開する。
     恋人の彼女に秘められたこととは…。よくある難病モノの作品かと一瞬思ったが、実に全く、予想外のエンディングに至る。
     たしかに伏線は事前に、たくさん置かれてある。が、最後になって、これは皆がよく知っている、昔話の現代的なバリエーションであることが判明する、という仕掛け。
     上野樹里さんの役作りと、語り口の上手さで、とても幸福な気分にしてくれるファンタジー作品であり、そのことを高く評価したい。

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  • 地球防衛未亡人

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    ウズメと化した悩殺技

     防衛軍のエース・パイロットである壇隊員が、放射性廃棄物が好物である宇宙怪獣と戦って、日本を守るストーリー。正義のヒーローも倒され、絶体絶命の危機に、彼女が繰り出す必殺技とは…。
     それぞれのユニークな配役が見所である。
     壇蜜さんは、怪獣のために未亡人になった元芸者の役だが、お色気ありのキャラクターが生かされている。
     彼女にはもっと悩殺されたかったが、これ以上だとR指定なのだろう。

     基本的には、時事ネタとかが織り込まれたパロディー作品なので、あら捜しはせず、気楽に楽しむのがお勧め。
     10年後にも、笑って楽しめればよいのに、とは思うけれど。

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  • 乙女の汚れた裸

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    少女の思春期の心象風景

     一人の少女が、親や友人、彼女を取り巻く人間関係から自立していくプロセスを、心象風景として描写した実験作。
     映像はCFのようにきれいだし、BGMはEDM調。スタイリッシュな仕上がりとなっているが、ストーリーは暗めで、やや難解かも。
     全体として感情移入が難しく、邦題が映画のテーマを分かりにくくしている。

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  • 性奴隷の女を愛した僕の未来

     入った会社で出会った、黒髪ロングの魅力的な人妻。やがて、彼女は別の男に調教されていることが分かる。交錯する過去と現在、性奴隷の女性を好きになってしまった僕の運命は…。
     絶対的な主従関係が物語の前提とされていて、一連の心理描写の説得力はいま一つ…。
     音楽やアートワークは華麗に、バブル期を彷彿とさせるが、現代は格差社会。ゆえに、このようなSM関係が美とされるのかも。
     作品にその身を捧げた壇蜜さんの存在感が、価値のほぼ全てであり、彼女のショーケースとして、R18バージョンで鑑賞されることをお勧めする。

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  • 1999年の夏休み

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    美少年たちが過ごす夏、その回想の物語

     人気の絶えた森の寄宿舎学校に残って、夏休みを過ごしている3人の少年。そこへ、3ヶ月前、湖底に姿を消した少年にそっくりの転入生が訪れてくる…。パラレル・ワールドを扱った、ファンタジー作品。
     ロマネスク調のセットやアートワーク。当時の少女俳優が美少年たちを演じるキャスティング。そして、独特の繊細な雰囲気のあふれる世界観が展開していく。
     すべて制作当時の1988年だからこそ、実現できたともいえそうだが、現在見ても十分瑞々しさが感じられる。
     映画の繊細な心理描写を理解できる方に、特にお勧めできる作品。

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  • わたし出すわ

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    福の女神は、富は差し出すけれど

     地味だけど美人、一人の女性が、久しぶりに故郷の街へと帰ってくる。東京で才能を発揮した彼女、実はかなりの財を築いているらしい。
     しかし、彼女は得た富を自分のためには使おうとせず、高校時代の友人たちと再会して、それぞれに惜しみのない支援を申し出る。
     彼女の行為は、贈与なのか、投資なのか、それとも、限りない愛の表現なのか…。

     彼女が落とすお金によって、周囲に波紋のように広がる人間模様。
     福の神は、富を差し出すけれど、それで幸福がもたらされるとは限らない。
     小雪さんが演じる女神の、淡々とした存在感が、印象に残る。

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  • Love Letter

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    少年の心に存在した一つの女性のイメージ、その追想の物語

     恋人が山で遭難死し、残された一人の女性。追想の日々の中で、彼の中学時代の住所を知り、そこへ手紙を書く。しかしその宛先は、実は彼と同姓同名の同級生の女子のものだった…という勘違いから始まる、大人のメルヘン。
     しかも、ふたりは瓜二つの似た風貌であることが分かって、手紙のやり取りを通して、失われた青年の内心の意外な側面が明らかになっていく。
     やがて恋人を失った女性は、自分の心に区切りをつけていき、同級生だった娘は、かつての青春の日々にささやかな真実を見出す、というほのかな哀愁の漂う物語。

     メタファーをパズルのように組み合わせて、緻密に構成された1990年代のラブ・ストーリー。
     初めてスクリーンで見た際の、雪の風景と中山美穂さんの可愛らしさ、美しさがとても印象に残っている。

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  • 現代の若い夫婦は

     ロマンティック・ラブの延長で結婚生活を続ける夫婦についての物語。つまりは二人を結ぶ絆とは「愛情」なのである。
     それを毎日再確認する儀式が「死んだふり」。ありきたりな話である。
     子供がいないことが、やがて危機を招くかもしれないことも、一方で暗示されてはいるけれど。

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  • 今もなお自分の中に生き続ける人

     タイトルだけ見ると、なんだか猟奇っぽい作品かも、と感じていたのだけれど、実際鑑賞してみると全く違っていて、とても不思議でロマンティックな、ラブ・ストーリーだった。
     こんな風に、身近な他人の人生に影響を与え変えてしまう女の子って、現実世界にも、たまにいると思う。
     原作未読だが、脚本がよく練られていて、印象に残る言葉がたくさん出てくる。すでに大人になってしまった私から見ても、十分感動できる作品だった。

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