ここ都内近郊の団地の朝、今朝も律子は満たされぬままで夫良平を送り出した。/陽子は夫が海外出張をしていることをよいことに、女ざかりをもてあそぶかの様に、隣りの律子たちのまじわりを盗聴器で聞きひとり悶えたり、趣味と実益を兼ねた様な人妻たちの売春の仲介をして高価なダイヤや衣裳で女の虚栄心を満たしていた。そしてひそかに律子を自分の仲間ひき入れようとしていた。/陽子は律子がセックスに満足していない事を知り、律子にコケシ型バイブレーターを、さりげなく貸すのだった。その日の昼にコンドームセールスマンの畑中のひ猥な言葉を耳にした律子は自分の心を静止できず、バイブレーターの快い震動にしだいしだいと喘ぎ悶え始めるのだったが、その時夫の友人桐村からの電話がかかってきた。それは満たされぬ人妻律子の転落を暗示するかの様なベルのひびきであった。/律子はプレイボーイ桐村の刺激的な言葉に、夫良平に嘘の電話をし、桐村とデイトをするのだった。夫に嘘をついてのデイトに律子の探求心はエスカレートし、バーからクラブへ、クラブからホテルへと、ワインとダンスに酔った彼女は桐村の胸にだかれて初めて女のよろこびを知ったのであったがしかし、ホテルに入る二人を物かげからみつめる陽子の目を律子は知らなかった。/翌日から律子は陽子に桐村とのことをネタに威されながらも畑中の作っているコールガール組織の実体を教らされ、自分のセックスも満足しその上ほしかったダイヤも手に入れられることを知り、まだ稚さなかった彼女の肉体の感度とテクニックは急激に爛熟していくのであった。/一方その頃、良平は、課長昇進を賭けて外人バイヤー、マイクとの接渉を行っていたが、うまく行かず悩んでいたが同僚の田代から、マイクのウイークポイントは女だと知ると彼は桐村にマイクの女の世話をたのむのだった。良平は桐村と律子と畑中のつながりなど知るよしもなかった。/あるホテルの一室、律子とマイクの獣のようなまじわりのあと、セックスに陶酔し失神した様な律子の前に現れたのは、良平と田代であった。運命のいたずらか、故意なのか律子と良平は愕然と立ちつくすのみであった。/自分の妻がコールガールをしていた事や、それを同僚に知られ良平は『何もかもおしまいだ。』と家をとび出してしまった。/陽子はそれとも知らずに律子に客を世話しようとするが、律子は自分の家庭を破壊においこんだ陽子を憎み、もみあううちに陽子を殺してしまった。/今や夫に去られ殺人者となり、男をセックスでしか愛すことの出来なくなった、かなしい女律子の足はなぜか桐村のマンションへと、そしてそれが自分の死への道とも知らずに向いているのであった。