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redocatさん

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  • 風の電話

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    ドライブ・マイ・カー

    東日本大震災避難先の広島在住の女子高生が、
    被災地である故郷の岩手まで旅するロードムービーで、
    ヒロインが必ずカメラに写るオールロケーションの作品。
    1972年斎藤耕市監督「旅の重さ」や、
    1985年アニエス・ヴァルダ監督「冬の旅」と似た手法。
    順撮りということからヒロインを演ずる若い女優の変化が一つの見どころで、
    無表情だった岸田劉生の麗子像を彷彿とさせるその独特な容姿が、
    ヌーヴェルバーグ風の即興演出による、
    三浦友和や西田敏行らのベテラン俳優との交錯によって豊かに反応していく。
    西島秀俊とのシーンが一番長く、
    同じ広島から北へ向かうことと車中でのシーンが多いことから、
    まるで「ドライブ・マイ・カー」のようでもある。
    (この作品の方が先)
    福島での西田敏行の独白のシーンは、
    偽りのない気持ちなのでしょう。


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  • 火野正平と竹中直人と清水大敬監督

    若いツバメ演ずる郷ひろみのダチ公役に、
    火野正平と竹中直人に痰ツボFUCKで知られる清水大敬監督がラインナップ。
    この4人で深夜に深酒しながら賭博(賭け花札)行為に興ずるシーンは、
    郷ひろみはともかく実生活でもかくやという感じ。
    この当時の大敬監督はまだAV業界に転身する前で、
    黒澤明監督の「影武者」でも重要な役で出演しており、
    カンヌ・ベルリンと三大国際映画祭の公式コンペ受賞作に相次いで出演するなど、
    特に重厚な時代劇の正統的な俳優として活躍していた。
    AV黎明期の男優は速水健二や山本竜二といった無名の俳優が多かったですしね。
    奈良大和郡山の小泉地区にある茶道で有名な慈光院が主なロケ地で、
    丸く刈り込まれたサツキや椿の美しい庭園を効果的にドラマへと織り込んだ、
    ローケーションの素晴らしさが特筆すべき作品。

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  • 昭和残侠伝

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    六代目三遊亭圓生

    浅草界隈の地主相談役に噺家の名人六代目三遊亭圓生が配役。
    独特の口調による台詞回しはもう話芸の世界。
    ゲスト出演ではなく御大的な役回りで再三登場。
    池部良の任侠映画初登場となった作品でもあるが、
    大映のスターだった菅原謙次が健さんの兄貴分で出演。
    これも任侠映画初出演。
    梅宮辰夫と松方弘樹が兄弟分の若衆役で共演しており、
    二人とも女大好きのやんちゃなチンピラ風で私生活そのまんま。
    前年に「日本侠客伝」がスタートして好評を博していたので、
    配役にちょっと捻りを効かせたという感じ。
    健さんや池部良に梅辰松方や江原真二郎とやたらと男性陣が裸になる映画で、
    LGBTQ的な面もあるかな。




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  • 激突!殺人拳

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    千葉真一vs石橋雅史

    冒頭と最後に千葉真一と石橋雅史との対決シーンがあり、
    そこが一番の見どころ。
    プロの格闘家同士による空手の実技を拝見させて頂く感じでしょうか。
    前半に剛柔流の道場における稽古模様も登場します。
    当時は劇画の実写化が流行していた頃なので、
    荒唐無稽でグロテスクな描写はそのパターンですね。

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  • ホーンティング

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    山荘奇譚

    ゴシックホラー古典的小説の二回目の映画化。
    で、まったく怖くない。
    特に後半のCG過多シーンはあまりにも薄っぺらくてゲンナリする。
    逆に前半の迷宮幽霊屋敷探検シーンの方が、
    荘重重厚な神殿を思わせる豪華なセットが悪魔的ムードを醸し出して良い。
    後半はそのセットを全く活かしきれておらず、本当に退屈。
    見どころは舞台装置。


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  • 網走番外地 北海編

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    吉野のママ

    いわゆるロードムービーで、
    訳アリのいわくありげな人物が同乗して、
    スリップして谷族へ転落するかもしれない厳冬の危険な峠越えにチャレンジするストーリーは、
    ジョンフォードの「駅馬車」とアンリ・ジョルジュ・クルーゾーの「恐怖の報酬」を混ぜたような話だけれど、
    健さんと大原麗子のコンビは反発しながらも実は好きというパターンで、
    コミカルにスリリングに展開してそこは石井輝男監督らしいモダンでシャープな演出で飽きずに見せる。
    健さんと仲の良かった伝説のオネエ吉野のママも出演。


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  • 網走番外地 望郷篇

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    人斬りジョー

    平手造酒みたいな労咳病みの殺し屋を演じる杉浦直樹がかっこいい!
    最後の対決シーンも「座頭市物語」みたいでかっこいい!
    石井輝男監督ならではのリズミカルでシャープな演出もかっこいい!
    九州出身で地元九州の風土が肌に合っている健さんもやはりかっこいい!

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  • 日本侠客伝

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    萬屋錦之介の娘役が藤山直美

    高倉健が任侠映画の主役として初めて出演しており、
    これで一躍スターダムに駆け上がった伝説の作品。
    ということで周りは名だたるスターたちが花を添えていて、
    本来は主役予定だった萬屋錦之介が流れ者の客人役を、
    その妻役に三田佳子で娘役に藤山直美。
    健さんの弟分に田村高廣と松方弘樹という時代劇スターの二世俳優、
    さらに長門裕之&南田洋子夫妻にミヤコ蝶々&南都雄二夫妻も出演。
    監督がマキノ正博なので甥の長門裕之&津川雅彦兄弟も共演し、
    藤純子や大木実に安倍徹・天津敏・内田朝雄と任侠映画の常連に、
    ”焼津の半次”こと品川隆二が敵役の代貸役で顔を見せる。
    ベースが忠臣蔵になっていて安倍徹が吉良上野介だとすると高倉健は大石内蔵助、
    みたいな設定のやくざ映画ですわ。
    時代劇からやくざ映画に移行する時期の作品ですしね。

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  • 陰の主役は火野正平

    キャスティングの面白い作品で、
    広域指定暴力団No2の地位にある鶴田浩二の妻役に市原悦子。
    およそ極妻に相応しくないキャラクターで、
    世話好きの糟糠の妻といった風情。
    同様に首領である佐分利信の妻役に青年座の幹部である東恵美子。
    こちらも極妻というよりはむしろ知的で上品な大学教授夫人と言ったところで、
    娘役には文学座の二宮さよ子とこの二人の演技は新劇の舞台でも見ている感じ。
    で一番の変化球は当時まだ20代だった火野正平。
    プレイボーイとして浮名を流しまくっていた盛りの頃で、
    女に寄生する”ヒモ男”を文字通り体現。
    この作品の後の「総長の首」における小倉一郎の役とも共通する、
    社会の底辺で蠢く名もなき若者たちにフォーカスを当てており、
    逆境に耐えながらいつか花開くぞと野望を抱くが、
    最終的には巨大な権力に踏み潰されていくというストーリーは、
    中島貞夫監督得意のパターンですな。
    佐分利信の威厳があり重厚なキャラクターはフィクサー役にうってつけで、
    マーロン・ブランドがイメージされているんでしょうね。



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  • 下北沢の小劇場

    主役夫婦が東京乾電池のベンガルと劇団3〇〇のもたいまさこ、
    その周囲に、
    東京乾電池の柄本明
    劇団青い鳥の木野花
    自由劇場の笹野高史
    黒テントの斎藤晴彦
    と、当時の人気小劇団のスターが雁首揃えたようなキャスティングで、
    しかもロケセットの八百屋とスタジオ内の茶の間空間が撮影現場の大半になることもあって、
    下北沢の本多劇場かザ・スズナリあたりで小劇場の舞台でも見ているような感じ。
    後年のNHK朝ドラ「あまちゃん」における、
    渡辺えり・木野花・吹越満・古田新太・松尾スズキらがキャスティングされたノリに近い。
    実話が元になっていてロケ地のモデルになった八百屋も撮影現場の三軒隣にあったとかで、
    既に廃業していたのに再開されたものと現地の人が勘違いをしてしまい、
    そのフリーの買い物客もそのまま写すというセミドキュメンタリーみたいな造りになっている。
    中国人留学生役の人達も一部を除き素人の中国人を起用していて、
    天安門事件以降は消息不明だとか。
    そんなところもドキュメント。
    ルーツが実験的自主制作出身の大林監督による異色作。



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  • TOVE/トーベ

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    ムーミン谷のなかまたち

    トーベ・ヤンソンの評伝ものですけれど、
    元々は絵本作家でもなくレズでもなく酒好きダンス好きの活発な女子で、
    売れない画家でノーマルだったのはなんか意外でした。
    手慰みに書いたものがかえって大受けで、
    ひょんなことからあっちの世界に入り込み、
    どっぷり頭まで沼に漬かったというわけで、
    ムーミンに登場するキャラクターもその周辺にいた人々がモデル。
    ムーミンの世界はその世界の住人の理想郷なのでしょうね。

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  • 60年代の英国映画とその背景にあるもの

    1965年カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作である、
    リチャード・レスター監督「ナック」がベースとなっている作品で、
    その「ナック」の田舎娘を演じていたリタ・トゥシンハイムが、
    本作ではヒロインの叔母役で登場している。
    時はスウィンギング・ロンドンが始まろうとする頃のロンドンソーホー地区、
    世間知らずの初心な地方出身女子が、
    妖しくも蠱惑的な煌びやかな世界に惹かれていって魔の手に落ちそうになる、
    という梅辰兄ィ「ひも・いろ・ダニ・かも」みたいなストーリーなのではあるが、
    見どころは60年代英国文化の再現にあり、
    音楽・ファッション・インテリア・車etcの当時最先端だった流行がゴージャスに彩られる。
    大戦から20年たち階級制を色濃く残す保守的な土壌の強い英国において、
    労働者階級の若者たちの反乱が起きた当時のロンドン、
    そのパワフルでスタイリッシュな若者たちの息吹きが展開する。
    1965年「007サンダーボール作戦」上映中の映画館も登場し、
    本作には1969年「女王陛下の007」のボンドガールだったダイアナ・リグも登場。
    また1965年「コレクター」の主役だったテレンス・スタンプも出演し、
    60年代英国映画で活躍したスター達の面々も揃える。
    ホラー仕立てになっているのは当時のハマープロの影響か?
    そして今も変わらぬ映画界のみならず社会全体に残るセクハラ&パワハラ。
    特に芸能の世界でも昨今話題になってる枕営業強要の悍ましき悪習は、
    時が変わってもどの国でもあんまし変わっていないですわ。

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  • 逃亡地帯

    ロバート・レッドフォードの出世作は、
    1966年のアーサー・ペン監督による「逃亡地帯」で、
    脱獄囚の役を演じている。
    引退作として選んだのが同じ脱獄囚のお話で、
    その「逃亡地帯」のシーンがモンタージュされている。
    美形俳優ではあるが比較的社会のシステムからドロップアウトする役を好んでいて、
    「明日に向かって撃て」「大いなる勇者」「スティング」
    「華麗なるギャツビー」「愛と哀しみの果て」「モンタナの風に抱かれて」etc...
    そういった自ら演じていたアウトサイダーの魅力的な人物像を、
    ほのぼのとしたユーモラスなタッチで再構築している。
    原題は”老人と銃”であるが配給会社側が彼のパーソナリテイをうまく汲取っているのでは。
    仲間役にダニー・グローヴァーやトム・ウェイツが当てられているのが微笑ましく、
    シシー・スペイセクは「モンタナの風に抱かれて」のクリスティン・スコット・トーマスや、
    「愛と哀しみの果て」のメリル・ストリープ的な役割でしょうか。

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  • 演歌のルーツ

    いわゆる芸道もので例えば日本に例をとると、
    「竹山ひとり旅」「はなれ瞽女おりん」「津軽じょんがら節」etc…
    みたいな世界でしょうかね。
    時代の波に押し流されてしまい失われていった一つの大衆文化、
    その姿をセンチメンタルにノスタルジックに描いたもの。
    中盤の長閑な田園風景を遠景から歩いて来る一家を長回しで捉えた映像が美しい。
    ポン・ジュノやイ・チャンドンが登場する前のちょっと昔の素朴な韓国映画。

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  • 「地獄の黙示録」+「アナコンダ」+「ミッション」

    なんでも当初はジャック・ニコルソンで予定されていたらしいのが、
    色々とあって交代し最終的には監督と旧知のクラウス・キンスキーに落ち着いたそう。
    つまり「シャイニング」みたいにどうかしちゃってる役柄で、
    キンスキーが偏執狂の変人中年を怪演。
    またロケが大変だったみたいで、
    アマゾンの奥地の人跡未踏の辺境の密林で信じられないような事態が連発し、
    コッポラの「地獄の黙示録」と似たような状況。
    前半は未開の源流を遡上して未知の領域へと侵入し、
    得体の知れない異物に遭遇する恐怖感、
    つまり「アナコンダ」みたいなサスペンスで、
    後半は激流や滝に飲み込まれていくスペクタクル、
    つまり「ミッション」みたいな展開。
    で、一番の見どころは中盤にある豪華客船の山越え。
    ハンニバルのアルプス越えみたいなアンビリバボーな世界。
    よく考えたらアマゾンのジャングルを巡るロードムービーですな。
    クラウディア・カルディナーレは娼館の女主人役で主人公の愛人。
    ゲップが出そうな濃い中年カップル。
    一番怖いのはこの映画を企画し完成させた監督自身じゃないでしょうか。


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  • アンツィオ大作戦

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    アンツィオ失敗作戦

    どうもキャスティングに一つ捻りがあるようで、
    主人公が従軍記者の設定となっており、
    戦場を客観的な視点でジャーナリスティックに捉える、
    冷めた感覚の人物として眠たそうな瞳のロバート・ミッチャムを起用。
    さらに一癖ある伍長役にコロンボ刑事のピーター・フォークが当てられ、
    ユーモラスだけど複雑な心理描写を必要とする、
    数々の死線を越えてこれもまたどこか醒めた感覚の持ち主として登場。
    連合軍のアンツィオ上陸作戦そのものの描写は前半の30分程度で、
    大半はローマ進軍へと至る過程においての、
    無能な指揮官の誤った判断から大軍を失い敗走を余儀なくされた模様を、
    惨敗して戦場に取り残された7人の兵士たちが、
    いかに的中突破してアンツィオに戻れるかというストーリーとして描いたもの。
    内容としては「プライベート・ライアン」に似ている。
    というかこっちの方が古いけど。
    地雷源と犬のエピソードが面白かったかな。





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  • 将軍たちの夜

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    戦争ミステリー

    戦闘シーンはあまり多くなく、
    前半にワルシャワ市街でのレジスタンス勢力一掃のシーンがあるのみ。
    でもこれは中々の出来で、
    火炎放射砲や戦車迫撃砲が唸りをあげてビルを破壊する場面は迫力満点。
    基本はミステリーで、
    冒頭からスリラーサスペンスのヒッチコックタッチ。
    殺人事件当日にアリバイのない将軍が3人いて、
    さあ誰が犯人だという出だし。
    で、オマー・シャリフ扮する少佐が捜査を進めるうちに・・・。
    まあ犯人はバレバレですが、
    この作品のテーマは二つあって、
    監督自身がウクライナ出身のユダヤ人で、
    ナチスを懐かしがる風潮に対する危惧(エンディングに象徴される)と、
    人格形成が生来のものなのか又は戦争によって歪められたものなのか?
    という点。
    欧州演技派の名優が打ち揃ったようなキャスティングで、
    特にドナルド・プレザンスとチャールズ・グレイは、
    この後ボンド映画で同じ悪役ブロフェルドを演じた者同士の競演。
    ピーター・オトゥールとオマー・シャリフは「アラビアのロレンス」組、
    トム・コートネイとオマー・シャリフも「ドクトル・ジバコ」組。
    クリストファー・プラマーはロンメル元帥役で、
    刑事役にフランスのフィリップ・ノワレも出て来ます。





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  • 風林火山

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    無法松の一生

    2時間45分の長尺作品ですが、
    始まって1時間35分のところで休憩が入ります。
    で、その前半までが面白い。
    一介の浪人が手練手管で出世していくお話を、
    いつもの稲垣講談調でユーモラスにテンポよく進みます。
    特に佐久間良子演ずる由布姫とのパートは、
    もう殆ど「無法松の一生」そのもの。
    無骨で不器用な純情男の片思いのお話。
    佐久間良子もまだ20代で美しく東映城でお姫様役を演じていましたから、
    うってつけのキャスティング。
    休憩後の後半は川中島の戦いのシーンになりますが、
    正直言ってあまり良い出来ではない。
    黒澤明監督が三船敏郎に合戦のシーンだけ俺にやらせろと言っていたとかで、
    メリハリがなくなんかダラダラしたアクションシーンの羅列。
    稲垣浩監督だと人情物の方が向いているんですよね。
    オールスターキャストですが、
    石原裕次郎はセリフもなく顔見せだけ。
    信玄の弟信繁役に若い頃の田村正和、
    山本勘助の家来にやはり若い頃の緒形拳(新国劇)、
    前進座から中村翫右衛門&梅之助親子、
    東映組から萬屋錦之介&中村嘉葎雄兄弟に月形龍之介、
    歌舞伎から中村勘九郎、
    それに志村喬や土屋嘉男の黒澤組と重量級の布陣。
    豪華絢爛な戦国絵巻もの。



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  • 燃ゆる女の肖像

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    レスボス島とオルフェウス

    この映画に男性はほとんど登場しません。
    最初の島へ渡る船頭役と最後の荷物担ぎ役、
    それにギャラリーや劇場の観客程度で、
    ほんの数カットだけ。
    そう、これは純然たる女性のための女性向け文芸作品で、
    女性たちだけで建設する男性が介在しないレズビアンのアルカディア(理想郷)を表現したもの。
    内容はフランス革命が起きる以前のバロックの時代、
    まだ厳然と階級制が布かれた封建的な価値観の社会で、
    画家の身分はさほど高くなく職工的な扱いでしかなかった頃、
    さる高貴な女性の肖像画を描くために、
    北方フランスのブルターニュ地方のさる島へ赴いた若き女性画家の味わった、
    その人生において特別で貴重な体験の日々を描いたもの。
    競争社会で争いごとの絶えない男性中心主義の世界と異なり、
    互いに助け合って平和的に共存していく女性の社会では、
    貴族・画家・召使の身分は消え失せ平等に仲良く暮らし、
    さらには燃えるようなパッション(熱情)をたぎらせて愛し合っていく。
    レズビアンという言葉の発祥とされるレスボス島の詩人サフォーの如く、
    その形を言葉でなく絵として昇華させる。
    しかしオルフェウスのようにその対象を愛するあまりに代償として失っていく、
    というお話です。
    フェムニズム的LGBTQがテーマの美しきロマン。




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  • 希望の国

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    震災直後の気仙沼ロケ

    この作品の劇場公開は2012年の10月で、
    撮影当時は冬ということから大震災からまだ数ヶ月の気仙沼でロケが行われている。
    映画製作にはそれなりに準備期間が必要で、
    キャスト・スタッフの手配やロケーションの調整から考えると、
    震災直後に監督自身が脚本を書き動いたものであろう。
    たしかにこの作品には粗がありまとまりに欠け、
    もっと突っ込んだ内容もあったのではないか?と批判する向きもあるだろうが、
    それは時間がもっと経て出てくる言葉であって、
    その時点での発露する根源的な何か魂の塊をフィルムに焼き付けたい、
    そんな熱量が感じられる力作になっている。
    死の直前まで書かれていたマーラー交響曲第十番のアダージョが象徴的。

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